第25回:リフローとリボールについて
リボール修理を始めました
いきなり何だっ!?、という方もいらっしゃると思うので、順番に、、、
パソコンが起動しない症状

・電源を入れたけども、Windowsが起動しない。
・LEDは点灯しているけど、画面が真っ暗なまま。
・ウィーンと音はするけど、何も表示されない。

・画面がザラザラ表示される。

・「PCI Express Error」が表示され、先に進まない。
こんな症状になったことはないでしょうか?
パソコンが起動しない原因
Windowsが正常起動しない場合、原因は色々とあります。
【ハードウェア障害】
マザーボード(基盤)故障、HDD故障、メモリ故障、電源アダプター故障、
バックライト切れなどなど
【ソフトウェア障害】
システムファイルの破損、ウィルス感染などなど
簡単に挙げても、原因は多々あり、お聞きした症状だけで判断することは難しいです。
通常はお預りの上、初期診断させて頂いております。
マザーボード故障の場合

マザーボード故障の場合、ビデオチップの通電不良が非常に多いです。
(他にも、コンデンサーやブロードライザ―といった場合もありますが、ノートPCに限って言えば、これが多いです。弊社の場合は、、、ですが)
言うまでもなく、WindowsOSといったソフトウェアは、ハードウェアが正常に動作して、初めて正常に起動できます。
その際、まずBIOS(Basic Input/Output System)がハードウェアを、チェックし、問題が無ければ、HDD/CD-ROM/USBなどから、OSを起動します。
逆に言えば、ハードウェアに異常があった場合(BIOSが認識できない場合)、OSは起動しません。
当然、ビデオチップも正常に認識されなければ、同じ事です。
なぜ通電不良になるの!?

ビデオチップ(一言で言えば、画面出力を担当している部品です)とマザーボードは、数十箇所の半田でマザーボードと接合されています。
経年劣化やパソコン内部のホコリによる熱暴走などにより、半田クラック(ひび割れ)が発生します。クラックが発生すると、正常に通電せず、ビデオチップはマザーボードから認識できなくなります。
結果として、「電源を入れても起動しない!」といった現象になります。
なぜクラックが発生するの!?

そもそも、なぜ半田クラックが発生するのか!?ですが、弊社では、主に次の3つがあると考えております。
(半分どこかの受け売り!?、イヤン、気にしないで(^_^.))
1.使用されている半田(Pbフリー半田)がクラックを起こしやすい半田である事
世界各国で鉛の環境への影響を懸念して、半田の種類が共晶半田からPbフリー半田に変更されていきました。ですが、Pbフリー半田は、数千年前から使用されてきた共晶半田に比べて、作業性、信頼性共に確立されていないため、変更後に多数の問題が発生しました。その内の一つがクラックです。
Pbフリー半田:硬いが脆い性質を持っているため、物理的ストレスでクラックが入りやすい。
共晶半田: 非常に作業性、信頼性が高く柔らかいが粘り強く、クラックが入りにくい。
2.パソコンの基板が非常に反りやすく安っぽい作りをしている事
半田にクラックが入るのは、半田の結合部分に物理的なストレスが加わるためですが、それは、GPU等のチップが使用中に熱を持つためです。
チップが熱を持つことで基板表面、基板裏面も温められますが、それぞれ熱に対する伸長性が違い、掛かる熱量も異なる為、基板のGPU部分に歪みが発生します。
パソコンの起動と停止の繰り返しが、基板の歪みとなり、それが繰り返されることでストレスとなります。
パソコンのマザーボードはコスト意識が高く、安い材料で出来ていることが多いため、基板の反りが顕著と言われています。
3.パソコンの設計が悪い。もしくは廃熱が十分ではない事
そもそもGPUに負荷が強くて温まりやすく、その熱を逃がす機能が十分ではない為、基板へのストレスが発生し易いです。
特にノートパソコンは廃熱が十分ではない上、追加でファンを付ける事も出来ない為、この問題はどうしようもありません。
さらに言えば、パソコン内部にホコリ(特にFAN周り)が溜まると、内部熱が外に逃げなくなる為、自分で自分の首を絞めることになります。
この中で、2と3については、材質不良と設計不良のため、残念ながら修理では対応できません。
ただし、1については、「リボール」という対策方法があります。
肝心の対応方法は!?

対応方法は、3種類あります。
再発の可能性の少ない「リボール」という方法が、一番のお勧めです。
・リボール:
一言で言うと、「ビデオチップの貼り直し」です。
ビデオチップの半田そのものを、共晶半田というクラックの発生し難い半田で、再実装し直します。
リフローと似てるように思われるかもしれませんが、かなり違います。
物理的にビデオチップを一度剥がし、半田そのものをすべて変更し、マザーボードに再実装するため、修理後に同現象が再発する可能性が非常に低いです。
・リフロー:
ビデオチップの半田を高熱で加熱し、一度融解させることで、半田クラックのひび割れを修正します。
ただし、半田の材質そのものは同じため、修理後も再発する可能性があります。
・マザーボード交換:
マザーボードそのものを交換します。ただし、製品の材質も構造も変わらないため、交換した部品でも同現象が発生する可能性があります。
もう少しだけ補足します

【補足1】
リボールとリフローの違いは、一言で言えば、どれだけ再発のリスクを減らせるかというところです。
ただし、どちらの場合も、延命処置に近いものがあります。
【補足2】
リボールでも「再発の可能性がゼロになる!」と言い切れないのは、クラックが発生する原因として、
・半田そのものに原因がある場合
の他に、
・マザーボードの材質そのものに問題がある場合
・パソコンの放熱能力に問題がある場合
があるためです。
この場合は、修理ではどうにもならないのです(+_+)
【補足3】
リボール技術は、技術難易度が、かなり高いです。設備も技術も一流を求められ、とても私の手には負えないので、信頼できる提携業者様に外部委託しております。
結論

結局のところ、何が言いたかったというと、ビデオチップ修理の場合、リボールが一番良い選択だという事です。(あくまで私個人の意見です)
そして、今までは、リフローかマザーボード交換か二者択一でしたが、先月中旬より信頼できる業者様を見つけられたおかげで、弊社でもリボール修理が可能となりました。
蛇足
今までリボール修理をご案内できなかったお客様には、心よりお詫び申し上げます。
弊社としても、日々精進、ということで毎日試行錯誤しております。
どうぞご理解の程を
最後に一言!(えっ、長い!?)
お読み頂いてお分かり頂けたかと思いますが、いつも口を酸っぱくして、しつこく書いている通り、
ホコリはパソコンの大敵です!小まめにお掃除をしてあげましょう!
(難しい人は、内部クリーニングを承っております。)
初期診断の時に、いつもお客様に個別にご連絡させて頂いている内容ですが、
これだけ多いなら、いっそのこと皆さんに知ってもらった方が良いかと思い、書いてみました。
最後まで長文をお読み頂き、感謝致します。
それでは、皆様、素晴らしいパソコンライフを(-。-)y-゜゜゜
【宣伝・・・(*´ω`)】

システム葵では、個人様向けでも企業様向けでも、パソコン修理から、パソコン設定、パソコンの使い方、LAN環境構築、ソフトウェア開発まで、様々な実績がありますので、困ったことがあれば、お気軽にご相談下さい。
いきなり何だっ!?、という方もいらっしゃると思うので、順番に、、、
パソコンが起動しない症状

・電源を入れたけども、Windowsが起動しない。
・LEDは点灯しているけど、画面が真っ暗なまま。
・ウィーンと音はするけど、何も表示されない。

・画面がザラザラ表示される。

・「PCI Express Error」が表示され、先に進まない。
こんな症状になったことはないでしょうか?
パソコンが起動しない原因
Windowsが正常起動しない場合、原因は色々とあります。
【ハードウェア障害】
マザーボード(基盤)故障、HDD故障、メモリ故障、電源アダプター故障、
バックライト切れなどなど
【ソフトウェア障害】
システムファイルの破損、ウィルス感染などなど
簡単に挙げても、原因は多々あり、お聞きした症状だけで判断することは難しいです。
通常はお預りの上、初期診断させて頂いております。
マザーボード故障の場合

マザーボード故障の場合、ビデオチップの通電不良が非常に多いです。
(他にも、コンデンサーやブロードライザ―といった場合もありますが、ノートPCに限って言えば、これが多いです。弊社の場合は、、、ですが)
言うまでもなく、WindowsOSといったソフトウェアは、ハードウェアが正常に動作して、初めて正常に起動できます。
その際、まずBIOS(Basic Input/Output System)がハードウェアを、チェックし、問題が無ければ、HDD/CD-ROM/USBなどから、OSを起動します。
逆に言えば、ハードウェアに異常があった場合(BIOSが認識できない場合)、OSは起動しません。
当然、ビデオチップも正常に認識されなければ、同じ事です。
なぜ通電不良になるの!?

ビデオチップ(一言で言えば、画面出力を担当している部品です)とマザーボードは、数十箇所の半田でマザーボードと接合されています。
経年劣化やパソコン内部のホコリによる熱暴走などにより、半田クラック(ひび割れ)が発生します。クラックが発生すると、正常に通電せず、ビデオチップはマザーボードから認識できなくなります。
結果として、「電源を入れても起動しない!」といった現象になります。
なぜクラックが発生するの!?

そもそも、なぜ半田クラックが発生するのか!?ですが、弊社では、主に次の3つがあると考えております。
(半分どこかの受け売り!?、イヤン、気にしないで(^_^.))
1.使用されている半田(Pbフリー半田)がクラックを起こしやすい半田である事
世界各国で鉛の環境への影響を懸念して、半田の種類が共晶半田からPbフリー半田に変更されていきました。ですが、Pbフリー半田は、数千年前から使用されてきた共晶半田に比べて、作業性、信頼性共に確立されていないため、変更後に多数の問題が発生しました。その内の一つがクラックです。
Pbフリー半田:硬いが脆い性質を持っているため、物理的ストレスでクラックが入りやすい。
共晶半田: 非常に作業性、信頼性が高く柔らかいが粘り強く、クラックが入りにくい。
2.パソコンの基板が非常に反りやすく安っぽい作りをしている事
半田にクラックが入るのは、半田の結合部分に物理的なストレスが加わるためですが、それは、GPU等のチップが使用中に熱を持つためです。
チップが熱を持つことで基板表面、基板裏面も温められますが、それぞれ熱に対する伸長性が違い、掛かる熱量も異なる為、基板のGPU部分に歪みが発生します。
パソコンの起動と停止の繰り返しが、基板の歪みとなり、それが繰り返されることでストレスとなります。
パソコンのマザーボードはコスト意識が高く、安い材料で出来ていることが多いため、基板の反りが顕著と言われています。
3.パソコンの設計が悪い。もしくは廃熱が十分ではない事
そもそもGPUに負荷が強くて温まりやすく、その熱を逃がす機能が十分ではない為、基板へのストレスが発生し易いです。
特にノートパソコンは廃熱が十分ではない上、追加でファンを付ける事も出来ない為、この問題はどうしようもありません。
さらに言えば、パソコン内部にホコリ(特にFAN周り)が溜まると、内部熱が外に逃げなくなる為、自分で自分の首を絞めることになります。
この中で、2と3については、材質不良と設計不良のため、残念ながら修理では対応できません。
ただし、1については、「リボール」という対策方法があります。
肝心の対応方法は!?

対応方法は、3種類あります。
再発の可能性の少ない「リボール」という方法が、一番のお勧めです。
・リボール:
一言で言うと、「ビデオチップの貼り直し」です。
ビデオチップの半田そのものを、共晶半田というクラックの発生し難い半田で、再実装し直します。
リフローと似てるように思われるかもしれませんが、かなり違います。
物理的にビデオチップを一度剥がし、半田そのものをすべて変更し、マザーボードに再実装するため、修理後に同現象が再発する可能性が非常に低いです。
・リフロー:
ビデオチップの半田を高熱で加熱し、一度融解させることで、半田クラックのひび割れを修正します。
ただし、半田の材質そのものは同じため、修理後も再発する可能性があります。
・マザーボード交換:
マザーボードそのものを交換します。ただし、製品の材質も構造も変わらないため、交換した部品でも同現象が発生する可能性があります。
もう少しだけ補足します

【補足1】
リボールとリフローの違いは、一言で言えば、どれだけ再発のリスクを減らせるかというところです。
ただし、どちらの場合も、延命処置に近いものがあります。
【補足2】
リボールでも「再発の可能性がゼロになる!」と言い切れないのは、クラックが発生する原因として、
・半田そのものに原因がある場合
の他に、
・マザーボードの材質そのものに問題がある場合
・パソコンの放熱能力に問題がある場合
があるためです。
この場合は、修理ではどうにもならないのです(+_+)
【補足3】
リボール技術は、技術難易度が、かなり高いです。設備も技術も一流を求められ、とても私の手には負えないので、信頼できる提携業者様に外部委託しております。
結論

結局のところ、何が言いたかったというと、ビデオチップ修理の場合、リボールが一番良い選択だという事です。(あくまで私個人の意見です)
そして、今までは、リフローかマザーボード交換か二者択一でしたが、先月中旬より信頼できる業者様を見つけられたおかげで、弊社でもリボール修理が可能となりました。
蛇足
今までリボール修理をご案内できなかったお客様には、心よりお詫び申し上げます。
弊社としても、日々精進、ということで毎日試行錯誤しております。
どうぞご理解の程を
最後に一言!(えっ、長い!?)
お読み頂いてお分かり頂けたかと思いますが、いつも口を酸っぱくして、しつこく書いている通り、
ホコリはパソコンの大敵です!小まめにお掃除をしてあげましょう!
(難しい人は、内部クリーニングを承っております。)
初期診断の時に、いつもお客様に個別にご連絡させて頂いている内容ですが、
これだけ多いなら、いっそのこと皆さんに知ってもらった方が良いかと思い、書いてみました。
最後まで長文をお読み頂き、感謝致します。
それでは、皆様、素晴らしいパソコンライフを(-。-)y-゜゜゜
【宣伝・・・(*´ω`)】

システム葵では、個人様向けでも企業様向けでも、パソコン修理から、パソコン設定、パソコンの使い方、LAN環境構築、ソフトウェア開発まで、様々な実績がありますので、困ったことがあれば、お気軽にご相談下さい。
- 関連記事
-
-
第26回:一体型パソコンの液晶パネル交換について(液晶パネルの輸入バージョン) 2012/10/31
-
第25回:リフローとリボールについて 2012/10/10
-
第24回:TOSHIBA dynabook Qosmio F20 DVDドライブ交換 2012/09/01
-
テーマ : パソコン修理・サポート
ジャンル : コンピュータ